最高裁判所第二小法廷 昭和42年(オ)1010号 判決 1968年7月05日
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人らの負担とする。
理由
上告代理人井関和彦の上告理由について。
借地法一二条による賃料増額請求があつた場合、裁判所は、同条所定の諸契機を考量し、具体的事実関係に即し、相当賃料を確定すべきであり、その際、原判決の判示するような底地価格に利子率を乗ずる算定方法(所論の土地価格の利回り算定方式)も一つの合理的尺度として使用できるものではあるが、この算定方法が他の合理的算定方法に比して本則であるとまで解すべきものではない。しかし、原審の適法に確定した具体的事実関係のもとにおいては、右方法を使用し被上告人主張の地代を以て相当と認定した原判決の判断は結局是認することができるし、昭和三六年四月一日に遡つてなす被上告人の増額請求を認容すべきものとする原判決の判断も、その挙示する事実関係に基づき是認することができる。
結局、原判決に所論の違法はない。
論旨は、原審の認定にそわない事実を主張して、原判決を非難するに帰し、採ることができない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 奥野健一 裁判官 草鹿浅之介 裁判官 城戸芳彦 裁判官 石田和外 裁判官 色川幸太郎)